「インターネット業界は興味があるけど、仕事内容はどんな感じなんだろう?」
「文系で未経験だけど、インターネット業界に就職はできるのかな?」
「インターネット業界とIT業界の違いってなんだろう?」
上記のような疑問を持つ就活生は多いでしょう。
そこで今回は以下の内容を、インターネット業界に就職する慶應大生が解説します。
- インターネット業界の仕組みとIT業界との違い
- 未経験でも就職は可能かどうか
- インターネット業界の職種と仕事内容
5分ほどで一読できますので、インターネット業界に興味がある方はぜひご一読を!
インターネット業界とは?IT業界との違いを解説
インターネット業界とは、インターネットを利用したサービス全般を提供する企業のことです。
法人向けにウェブサイト制作やインターネット広告運用、SNS運用を行ったり、消費者向けに検索エンジンやECサイトの運営、コンテンツ配信などを行ったりしており、サービス内容は多岐に渡ります。
インターネット業界と混同されやすいのが、「IT業界」です。
IT業界とは、コンピュータやインターネットを使った情報技術(Information Technology)を利用したサービス全般を提供する企業のことを指し、以下の5つに分類されます。
- インターネット業界
- 通信インフラ業界
- ソフトウェア業界
- ハードウェア業界
- 情報処理サービス業界
つまり、インターネット業界はIT業界という枠組みの中にある1つの業界になります。定義によっては、通信インフラ業界をインターネット業界に含める場合もあるため、注意しましょう。
インターネット業界の仕事内容
インターネット業界特有の仕事内容は以下の4つです。
- Webデザイナー
- Webマーケター
- Webディレクター
- Webエンジニア
それぞれ解説します。
Webデザイナー
Webデザイナーは、IllustratorやPhotoshopなどのグラフィックソフトを使用して、企業から依頼されたWebサイトのデザインを制作する仕事です。
具体的な仕事内容は以下の5つです。
- クライアントにデザインに関してヒアリングする
- 競合サイトの調査・分析をする
- コンテンツの企画や構成を決める
- IllustratorやPhotoshopなどのソフトを用いてデザインする
- HTMLやCSS、JavaScriptなどを用いてコーディングする
この一連の業務をWebデザイナーが1人で完結させる場合もあれば、他の職種の人とチームを組んで取り組むこともあり、働く企業によって異なります。
デザイン全般の知識だけでなく、仕上げの際にミリ単位で修正を行うための集中力や、ミーティングの機会が多いためコミュニケーション能力が求められます。
Webマーケター
Webマーケターは、自社サイトの運営やWeb広告の出稿、SNS運用などを駆使して、見込み顧客の集客や申し込み獲得のための施策全般を行う仕事です。
具体的な仕事内容は以下の4つです。
- ターゲット・ペルソナの選定
- 予算作成
- 施策の実行と運用
- アクセス解析や施策の効果検証、データ分析
インターネットが普及したことにより、多くの人がインターネットを通して購買活動を行うようになりました。そのため、近年はWeb上でのマーケティングが重視されているのです。
広告・マーケティング全般の知識だけでなく、SEO(Webサイトが検索エンジンの上位に表示されるようにすること)などのインターネットの専門知識も求められます。
また、得られたデータをもとに問題解決するための論理的思考力や、競合他社の動向を追い続けるトレンドへの敏感さが求められます。
SNSが好きな人は向いていることが多いため、興味がある方は挑戦してみましょう。
Webディレクター
Webディレクターは、サイト制作の際に現場監督を務める仕事です。
具体的な仕事内容は以下の5つです。
- クライアントにニーズのヒアリング
- 制作に関わるメンバーの選定
- プロジェクトの予算作成
- スケジュール調整
- 納品後のクライアントフォロー
一般企業の管理職に相当する立場で、部下を指導したり、目標達成に向けて組織を鼓舞したりする場面が多いです。そのため、リーダーシップやコミュニケーション力、マネジメント力が求められます。
基本的には、Webディレクターの新卒採用は行っておらず、WebデザイナーやWebエンジニアが経験を積んでから配属されるケースがほとんどです。
興味がある方は現場での実績を積むことから始めましょう。
Webエンジニア
Webエンジニアは、サイトやECサイトの設計・開発をする仕事で、HTMLやCSSを用いてコーディングしたり、JavaやC言語を用いてプログラミングしたりします。
Webエンジニアは以下の2種類に大別されます。
種類 | 仕事内容 |
フロントエンドエンジニア | 操作に関する部分など、ユーザーから見える部分を設計・開発する |
バックエンドエンジニア | データの処理や保存など、ユーザーからは見えない部分を設計・開発する |
コーディングやプログラミングの専門知識だけでなく、クライアントの要望を効率よく実現するための論理的思考力や、チームで働く際のコミュニケーション力が求められます。
インターネット業界の市場が拡大する一方で、人口減少の影響でWebエンジニアは人材不足の傾向があります。
自身の市場価値を高めて、転職によるキャリアアップやフリーランスとしての独立に興味がある人は挑戦してみましょう。
インターネット業界に必要な資格
インターネット業界に就職する上で、必須の資格はありません。しかし、持っていることで職種や仕事内容の幅が広がる資格はいくつかあります。以下の表にまとめたので、参考にしてみてください。
資格名 | 資格内容 |
ITパスポート | 情報技術に関する基礎的な知識を持つことを証明する資格 |
情報処理技術者試験 | 情報処理技術者としての知識・技能が一定水準に達していることを証明する資格 |
基本情報技術者 | ITエンジニアとして基本的な知識・技能を有することを証明する資格 |
Illustratorクリエイター能力認定試験 | Adobe Illustratorを使用したグラフィックデザインの制作能力を証明する資格 |
Photoshopクリエイター能力認定試験 | Adobe Photoshopを使用したグラフィックデザインの制作能力を証明する資格 |
これらの資格を持っていると、インターネット業界に熱意がある学生だと面接官にアピールできるでしょう。興味がある方は、ぜひ取得に挑戦してみてください。
インターネット業界が向いている人の特徴
インターネット業界が向いている人の特徴は、以下の3つです。
- 継続的に勉強できる
- 論理的思考力がある
- コミュニケーション能力がある
インターネット業界は日々技術が進歩し続けるため、就職後も勉強してスキルを高め続ける必要があります。コツコツと長期的に努力できたり、物事を最後までやり遂げられたりする人は向いているでしょう。
また、間違いのないようコードを書いたり、数字やデータを見ながら効率的な施策を考えたりする際に、論理的思考力が必要になります。日頃から逆算して筋道を立てて物事を考えられる人は向いているでしょう。
さらに、インターネット業界のプロジェクトの多くはチーム単位で動きます。クライアントや仲間と円滑に働くためのコミュニケーション能力がある人は向いているでしょう。
インターネット業界の魅力や就職するメリット
インターネット業界の魅力や就職するメリットは、以下の3つです。
- 自由な働き方が多い
- 専門性が身につく
- 実力主義の企業が多い
インターネット業界の多くの企業は、自分で日々の始業と終業の時刻を決められる「フレックスタイム制」や、自宅で働ける「リモートワーク制」を導入しています。ネットやパソコン環境さえ整っていれば、自由に働けるのは魅力的でしょう。
また、ITに関する知識や技術が身につくのも魅力の1つです。IT業界は成長傾向にあるため、専門性を身につければ条件の良い企業に転職できたり、独立してフリーランスになったりと人生の幅が広がるでしょう。
さらに、インターネット業界は歴史が浅い業界のため、年功序列ではなく実力主義である場合が多いです。努力次第で昇進・昇給を実現できるため、継続的に勉強してスキルアップできる人はやりがいを感じやすいでしょう。
インターネット業界の大変さや就職するデメリット
インターネット業界の大変さや就職するデメリットは以下の3つです。
- 勉強をしないと生き残りにくい
- プライベートと仕事の区別がつきにくい
- 福利厚生、教育制度が充実していない可能性がある
インターネット業界は日々進化しており、日々勉強して新しい技術を習得しないと、業界で生き残りにくいです。流行りのツールや言語が使えないと、他の人と仕事ができなくなるのです。
また、一般企業は就業時間が設けられていますが、インターネット業界は就業時間が自由のため、プライベートとの区別がつきにくい場合があります。自分でスケジューリングを徹底する必要があるため、自己管理が苦手な人にはデメリットになるでしょう。
さらに、インターネット業界には設立してからの年数が短いベンチャー企業が多く、福利厚生が整っていない場合が多いです。安定的な働き方をしたい人にとってはデメリットに感じられるでしょう。
デメリットはどの業界にも必ず存在するため、他の業界と比較してみて納得できる内容かどうかを必ず確認しましょう。
インターネット業界の有名企業を3社紹介
インターネット業界の有名企業は以下の3社です。
- 楽天
- Yahoo!
- GMO
それぞれ解説します。
楽天
楽天は、インターネット関連の事業を展開しており、国内1億人以上の会員数・世界15億人以上のサービス利用者を誇る、業界最大手企業です。
真のグローバルカンパニーを目指して、2012年に社内公用語を英語化しており、従業員の20%が外国人・従業員の国籍数は70以上と、国境を越えて多くの人が活躍しています。
楽天の強みは、「楽天経済圏」と呼ばれる独自のサービス網です。
国内外で、Eコマースや金融分野など合計70以上のサービスを展開しており、楽天ポイントを通してサービスの複数利用、継続的なサービス利用を促進しているのです。事業は以下の3つに大別されます。
- 『楽天市場』等のECサイトを運営するインターネットサービス事業
- 『楽天銀行』や『楽天証券』を運営するフィンテック事業
- 『楽天モバイル』を運営するモバイル事業
また、楽天の魅力の1つに充実した福利厚生が挙げられます。社員食堂は、朝・昼・晩の3食すべてが基本的に無料のため、生活費を大きく削減できるでしょう。
歴史が浅いインターネット業界の中でも、特に福利厚生が充実していてグローバルに活躍したいと考えている人は、ぜひ挑戦してみましょう。
参考:楽天|ダイバーシティ
参考:楽天|楽天の事業
参考:楽天|CrimsonHouse
Yahoo!
Yahoo!は、国内で「Google」に次いで高いシェアを誇る検索エンジンの「Yahoo! JAPAN」を運営しているインターネット企業です。
事業内容は以下の3つに大別されます。
- 検索連動型広告やディスプレイ広告などの広告関連サービスを提供する、マーケティングソリューション事業
- 「ヤフオク!」「Yahoo!ショッピング」などのeコマース関連事業
- クレジットカードやFX、決済に関連する、決算金融関連事業
Yahoo!の強みは、豊富なサービス数です。約100のサービスを取り扱っており、「ヤフオク!」や「知恵袋」など独自のサービスが多くのユーザーに認知されています。
また、Yahoo!の魅力の1つが働き方の柔軟性です。連絡がつけばどこでも仕事をしても良い「どこでもオフィス制度」や、必ず就業する時間を10:00-15:00と定めている「フレックスタイム制」を導入しています。
インターネットの中でも検索エンジンに関わりたい方や、仕事とプライベートを両立させたい方はぜひ挑戦してみましょう。
参考:Yahoo!|Yahoo! JAPANのメディア力
参考:Yahoo!|リモートワーク制度「どこでもオフィス」の利用状況を発表
GMO
GMOは、1999年8月にインターネット企業として日本で最も早く上場した企業です。グループ全体の構成は合計104社(上場企業10社)となっており、インターネット業界最大規模のグループ会社です。
現在は「日本を代表する総合インターネットグループ」をめざし、以下の4つの事業を展開しています。
- インターネットインフラ事業
- インターネット金融事業
- 広告・メディア事業
- 仮想通貨事業
現在の主力事業はインターネットインフラ事業です。インターネット上の住所といえる「ドメイン」や、データを保管するための 「サーバー」「セキュリティ」など、インターネットビジネスの基盤となるサービスを提供しています。
また、近年は仮想通貨事業やFX取引高世界1位の証券事業に注力しています。インターネットインフラ事業および金融事業のノウハウを活かし、健全な資産運用を支えるためのサービス開発を進めているのです。
このように、インターネットそのものの作り手側になりたい人や、仮想通貨事業など他のインターネット企業とは少し異なる事業に興味がある方は、ぜひ挑戦してみてください。
参考:GMO INTERNET GROUP|GMOインターネットグループの概略
インターネット業界の志望動機の書き方
インターネット業界の志望動機を書く際には、以下の2点を明確にしましょう。
- なぜインターネット業界なのか?
- なぜその企業なのか?
まず初めにインターネット業界を志望する理由を伝えましょう。その際に、自由な社風という特徴や、他業界でのIT需要の高まりなどのトレンドを押さえておけば、企業側はプラスに見てくれます。
次に、インターネット関連の会社が数多くある中で、その企業を志望する理由を伝えましょう。インターネットを扱うサービスは多岐に渡り、各企業が強みとする事業は明確に異なります。競合他社との違いを明確にしながら、志望動機を作成しましょう。
インターネット業界の自己PRの書き方
インターネット業界の自己PRを書く際には、以下の2点を抑えることが重要です。
- どのように企業に貢献できるか?
- 求められる能力を発揮した経験
自分がどのように企業に貢献できるかを書く際には、企業の求める人物像と自分が近いことをアピールしましょう。企業理念を確認し、どのような人材を求めているか必ず確認する必要があります。
また、インターネット業界から求められる能力を発揮したエピソードを伝えましょう。職種ごとに求められる能力は以下の通りです。
職種 | 求められる能力 |
Webデザイナー | デザインの専門性集中力コミュニケーション能力 |
Webマーケター | 広告・マーケティング全般の知識論理的思考力トレンドに敏感な力 |
Webディレクター | スケジュール管理能力マネジメント能力コミュニケーション能力 |
Webエンジニア | プログラミングスキルやセキュリティ管理スキルデザイン能力論理的思考力 |
インターネット業界は1人で仕事をするイメージが強く、専門性・スキルがあれば問題ないと考える就活生が多いです。しかし、実際はコミュニケーション能力や論理的思考力なども重視されている場合も多いため、注意しましょう。
インターネット業界の年収や給料!ボーナスはいくら?
インターネット業界の年収と給料を職種別に表にまとめましたので、参考にしてください。
職種名 | 年収 | 月収(ボーナス含む) |
Webデザイナー | 300万円~700万円 | 25万円~58万円 |
Webマーケター | 400万円~700万円 | 33万円~58万円 |
Webディレクター | 600万円~1200万円 | 50万円~100万円 |
Webエンジニア | 300万円~1000万円 | 25万円~83万円 |
インターネット業界の特徴として、個人の経験・スキルによって、同じ職種でも年収が大きく変わることが挙げられます。
専門性を身につけて、転職や昇進を通して年収が上げやすいため、稼ぎたい方はコツコツ勉強を続けるようにしましょう。
インターネット業界の動向や今後の将来性は?
インターネット業界は、12年連続増収となるほど将来性のある業界です。理由は以下の2点です。
- 市場規模の継続的な拡大
- IT人材の需要増加
それぞれ解説します。
市場規模の継続的な拡大
2021年のインターネット附随サービスの売上高は2兆2,418億円で、前年比+8.1%の大幅増加を記録しています。
また、経済産業省が統計を開始した2009年から12年連続の増収を記録しており、近年の日本を牽引している業界です。
2021年の他業界の売上高は、情報サービス業は前年比+3.1%、広告業は前年比+6.9%、エンジニアリング業は前年比+1.4%となっており、インターネット業界が高水準で増収していることが分かります。
なぜ市場規模が拡大し続けているかというと、社会のデジタル化が急激に進行しているからです。特に2020年の新型コロナウイルス拡大以降は、テレワークや無料ビデオ通話、eコマースなどの普及が進み、インターネットの需要が増加しています。
今後も社会全体のデジタル化により市場の拡大は続くと考えられるため、興味がある人は積極的に挑戦しましょう。
参考:経済産業省|特定サービス産業動態統計調査(インターネット附随サービス業)
IT人材の需要増加
インターネット業界の発展に伴い、近年IT人材の需要が急激に高まっており、人材不足の傾向があります。2030年には約79万人のIT人材が不足するとの試算が出ているのです。
人材が不足している原因は、大きく2つです。
- 少子高齢化による産業人口自の減少
- IT産業の成長により、人材ニーズの増加
今後インターネット業界は拡大していくことが予想されますが、IT人材は貴重な存在になっていくため、スキルや専門性がある人の仕事が無くならないでしょう。そのため将来性がある業界と言えるのです。
インターネット業界のよくある質問
インターネット業界に関して、就活生からよくある質問は以下の3つです。
- 文系・理系関係なく活躍できる?
- 未経験でも挑戦できる?
それぞれ解説します。
文系・理系関係なく活躍できる?
インターネット業界は、文系理系問わず活躍できます。
しかし、WebエンジニアやWebディレクターなどプログラミングの専門知識が必要になる職種は、理系学生の募集が基本となります。
そのため、文系でインターネット業界に興味がある人は、営業職や事務職、Webマーケターなどに応募するようにしましょう。
未経験でも挑戦できる?
企業によりますが、未経験でも大丈夫な場合が多いです。
なぜなら、基本的にインターネット業界は人材が不足しているからです。未経験なのが心配な場合は、研修制度が充実している企業を探すようにしましょう。
また、即戦力となる人材の方が魅力的なのは間違いないため、余裕がある人は資格を取得したり、インターンなどを通して実務経験を積んだりしましょう。
まとめ:需要が拡大しているインターネット業界で自由に働こう!
インターネット業界で働く際には、継続して勉強する必要があったり、福利厚生・教育制度が充実していない可能性があったりします。
ですが、実力がある人は自由に働くことができますし、2009年から12年連続の増収を記録している、今後の日本を牽引していく業界です。市場は拡大し続けるでしょう。
未経験の人でも、人材不足の今は挑戦するチャンスなので、興味がある人はぜひ求人に応募してみてください。