「就活が不安で仕方がない……」「就活の苦しさから何もかもが嫌になってしまった」
このように感じることはありませんか?
就活をしていると、書類の準備や選考などで忙しくなり、辛いと感じる学生も多いです。 適度にストレスを発散できていればよいのですが、休む時間がなかなか取れず、心身ともに疲弊し、「就活うつ」になってしまうことがあります。
ただし、「就活うつ」は決して甘えではなく、あなたが努力してきた証拠です。そのため、自分を責めず、正しく対処することが必要なのです。
この記事では、「就活うつ」はどうして起こるのか、どのように予防・改善すればよいのかを詳しく解説します。悔いの残らない就活にするために、心身のバランスは必要不可欠です。ぜひ参考にしてください!
就活うつとは?
就活うつとは、その名の通り「就活が原因でおこる」うつ病、うつ状態のことです。
厚生労働省のホームページには、
「一日中気分が落ち込んでいる、何をしても楽しめないといった精神症状とともに、眠れない、食欲がない、疲れやすいなどの身体症状が現れ、日常生活に大きな支障が生じている場合、うつ病の可能性があります。うつ病は、精神的ストレスや身体的ストレスなどを背景に、脳がうまく働かなくなっている状態です。」
と記載されています。
さらに、発症の原因は正確には分かっていないものの、よく指摘される精神的ストレスや身体的ストレスなどに加え、結婚や進学、引越し、そして就職などといった「人生の転換点」でも発症することが多いです。
ただ、症状や重さは人によって異なるため、自分がうつ状態になっていることに気づきにくい場合も多々あります。就活を進めていくうえで、体調を整えることはとても重要です。
自分の状態を把握するためにも、「就活うつ」について押さえておきましょう。
就活うつの原因やなりやすい人の特徴
就活うつには、以下のような原因や、なりやすい人の特徴があります。
- 完璧主義
- 運動・栄養・睡眠不足
- 真面目過ぎる
- 人と比較する
- 自分を責めやすい
- 自分に自信がない
順番に見ていきましょう。
完璧主義
自己分析や企業研究、ESなど、就活で必要な準備を「完璧」にしようとする就活生も多いです。
しかし、学生はまだ働いているわけではないので、全てを完璧にやり遂げるには限度があり、そのギャップに苦しむことがあります。
「完璧主義」になり過ぎず、適度に力を抜いて取り組みましょう。
運動・栄養・睡眠不足
たくさんの準備があり、面接も必要な就活では、ストレスを感じる場面が多く、うまく対処することが求められます。
例えば、散歩やストレッチなどの適度な運動は、気分転換にもなり、リラックスすることができます。
また、規則正しい生活を送ることも大切です。睡眠の質を上げ、7時間程度の十分な量をとることにより、肉体的・精神的な疲れから回復することができます。
そして、栄養バランスの取れた食事は、体の調子を整えるうえで重要な要素となっています。ちなみに、うつ症状の改善にはビタミン、ミネラル、必須アミノ酸、脂肪酸などの栄養素が望ましいと言われています。
就活でのストレスを上手く発散させるために、適度な運動・栄養価の高い食事・充実した睡眠は欠かせません。これらが不足していると感じる場合は、補うように心がけましょう。
真面目過ぎる
一つひとつの業界を丁寧に分析したり、企業の説明会や就活セミナーにたくさん参加したりする、真面目な学生は要注意です。真剣に取り組むことはもちろん素晴らしいですが、休むことも必要です。真面目過ぎる自分をたまには甘やかして、バランスよく就活を進めましょう。
人と比較する
日頃から、自分と人を比較しがちな人は注意が必要です。
就活の時期になると、周りの学生の準備や内定の状況を頻繁に耳にしたり、内定者の経験談を見たりする機会が増加します。そういった情報は就活準備の参考になる一方で、自分と他者を比較し、焦ることはありませんか?
「人と比べて自分なんてどうせ…」と考えて劣等感を覚えることはストレスにつながり、就活うつの原因となる場合があります。いい意味で周りを見すぎず、自分のペースを保つことも大切なのです。
自分を責めやすい
内定がなかなか取れないとき、「自分のせいだ」と自分を責めてしまうことはありませんか?
結果が出ないまま就活を続けることはもちろん辛いですが、企業との相性がたまたま合わず、ご縁がなかったということなのです。自分の責任ばかり感じるのではなく、正しく原因を分析し、次のチャンスに向けてうまく切り替えていきましょう。
自分に自信がない
自分に自信をもてない人は、就活うつになりやすい傾向があります。
就活において、選考に落ちてしまう場面はつきものです。しかしそれが何度も続くと、自分の能力や頑張ってきたことが否定されているように感じ、自信をなくしてしまうことがあります。
また、自分の決めたことに自信が持てず、「親が〜と言ったから」「友達が〜しているから」と他人に判断を任せ流されてしまうと、あとから後悔する原因にもなります。
自分自身を信じて、意志をもって就活に取り組みましょう。
就活うつの診断方法
就活うつの症状とは、どのようなものなのか知っていますか?
具体的な症状は人によって異なりますが、一般的には以下のような症状があると言われています。
- 朝起きるのがかなり辛い
- 疲れているのに眠ることができない
- 一日中眠い、いつもよりかなり早く目が覚める
- 自分には価値がないと感じる
- 人と会うのが億劫である
- 死にたくなる
- 食欲不振
- 常に焦りや不安を抱き、気持ちが沈む
- イライラする
- やる気が出ない
- 注意力や集中力が欠如する
- 身体の不調続く(腹痛、頭痛、めまい、吐き気、動悸、耳鳴りなど)
このような症状が「1日中絶え間なく」「2週間以上」続いている状態の場合、就活うつの可能性があります。対処方法はさまざまありますが、まずは心療内科などに足を運び、専門家の判断を仰ぐことが大切です。
就活うつの対処方法
就活うつは病気であるため、正しく対処することが最も大切です。自分が「うつ状態かも……」と思ったら、専門家の判断を仰ぐとともに、以下の対処方法を実践してみてください!
- 悩みを書き出す
- 友達や家族に話を聞いてもらう
- 思い切って休んでみる
- カウンセリングを受けてみる
順番に紹介していきます。
悩みを書き出す
就活での自分の不安は、紙に書き出してみましょう。
就活がうまくいかず、なかなか内定が獲得できないとき、「これからどうしよう……」という焦りや不安でいっぱいになる学生はたくさんいます。
このようなネガティブな思考が頭の中をぐるぐると巡り、くよくよと考え続けてしまう、という体験をしたことはありませんか?この状態は、「反芻(はんすう)思考」と呼ばれており、うつ状態を引き起こす原因となります。
そのため、まずは「自分は何に不安を感じているのか」を把握し、整理することが大切であり、紙に感情を書き出す方法は、非常に有効です。
この行為は「ライティング」と呼ばれ、ストレスの発散方法として注目を集めています。紙に書き出すことで、感情の整理ができ、精神的にリラックスすることができるのです。
「何となく焦る、不安」と感じることを心の中にとどめず、それを書き出してみましょう。気持ちを可視化し、文字として見つめることで客観視することができ、自分とゆっくり向き合うきっかけとなります。
ぐるぐる思考から抜け出すために、紙とペンをつかって試してみてくださいね!
友達や家族に話を聞いてもらう
就活が辛いと感じたら、一人で抱え込まず、信頼できる家族や友人に話を聞いてもらいましょう。漠然とした不安や焦りは、他の人に吐き出すだけで気持ちが軽くなることもあります。
また、励ましてもらう以外にも、具体的なアドバイスを聞いてみるのも良いでしょう。
先に内定をもらった友人に、面接で気をつけたことやESのコツなど、自分と近い相手の実体験は参考になることも多いです。また、学校の就職課やキャリアセンター、就職エージェントのりようもおすすめです。就活のテクニックに加え、メンタル面のサポートをしてくれる相談員もいるため、気軽に訪ねてみてくださいね。
思い切って休んでみる
辛い時期が続いてどうしても前向きになれないときは、思い切って休んでみることも必要です。
一旦就活のことは忘れて、自分の好きなことをして過ごす時間を作ってみてください。
好きな音楽を聴きながら家で過ごしたり、家の近所の公園で散歩をしたり、日常の中で静かにゆっくりすることは、心と体を癒し、リフレッシュすることにつながります。特に、身体状態は精神機能の安定に深くかかわっています。睡眠時間を十分確保し、バランスのとれた食事をとることはとても大切なのです。
また、どうしても予定の都合上、休む時間を作ることが難しい場合もあると思います。そのようなときは、タスクごとの優先度を確認し、調整をしてスケジュールに余裕を持たせると、切羽詰まった状態も少しは解消されるはずです。
ぜひ試してみてください!
カウンセリングを受けてみる
「もう自分ではどうしようもない……」と感じたら、無理をせず心療内科に行くことをおすすめします。専門家に相談することは、悩みを共有でき具体的な解決策を考える上で大きな助けになります。
「わざわざ病院なんてハードルが高い」と考える方もいると思います。しかし、あなたの状態をよりよくすることが最も大切なことですし、何より心療内科に行くことは恥ずかしいことではありません。
心のバランスを保つために、少しでも躓いたら、うつのプロである心療内科に相談に行ってみてくださいね。
就活うつの予防方法
就活うつを予防することは、就活を続けていくためにとても大切です。
- 普段から食事・運動・睡眠に気を遣う
- 気楽に考える
- スケジュールに空白を作っておく
予防方法として、ここではこちらの3つを説明します。
普段から食事・運動・睡眠に気を遣う
就活うつを予防するのにもっとも重要なのは、「規則正しい生活」です。
特に大切なのは、こちらの3つの要素になります。
- 食事
- 運動
- 睡眠
順番に見ていきましょう。
食事
「食事でうつ病を予防することができる」と最近の研究で話題になっており、3食をバランスよく食べることが重要と言われています。
バランスの良い食事をとる際は、いわゆる「日本食」を準備すると良いでしょう。
うつ症状の改善にはビタミン、ミネラル、必須アミノ酸、脂肪酸などの栄養素が望ましいと言われています。食材はたくさんありますが、サンマの塩焼き、卵焼き、納豆、豆腐とわかめの味噌汁など、「健康的な日本食」をイメージすると、栄養豊富でバランスがとれた食事を作ることができます。
まず、食事のときに「よく噛むこと」はとても重要です。うつ病とは精神を安定させる働きをもつ、脳内の神経伝達物質である「セロトニン」が低下する病気ですが、咀嚼をすることにより、このセロトニンの働きが活性化できるといわれています。ご飯をよく噛んでゆっくりと食べるだけで、うつ症状の予防につながるのです。
運動
うつ病の予防や治療として、「運動」が注目を浴びています。
ランニングや水泳などの有酸素運動や、散歩、ストレッチなどの軽い運動でも、リフレッシュするには効果的です。運動をすると、「セロトニンの分泌の活性化」「睡眠の質の向上」「ストレスホルモンの低下」など、良いことがたくさんあります。
忙しい中でも少しだけ運動の時間をとることは、心身両面の健康にとって重要なのです。
睡眠
うつ症状の一つとして、「ぐっすり眠れない」「寝つきが悪い」といった睡眠障害があります。就活などでストレスがたまった場合でも、十分な睡眠はストレスを軽減し、解消する助けになります。反対に、睡眠がとれないと、ストレスや身体的な疲労が蓄積する原因になるのです。
また、睡眠が不規則になる生活は、自律神経の乱れにつながります。本来は、昼は「交感神経」が優位になるため活発に活動できる一方、夜は「副交感神経」が優位になるため、リラックスした状態で眠りにつくことができます。この自律神経の切り替えが乱れると、さまざまな体調不良が起きてしまうのです。
就活の準備のため睡眠時間が減少しがちですが、忙しいときほど質が高い睡眠、規則正しい生活を送るよう、心がけましょう。
気楽に考える
就活は、人生において重要な分岐点になることは間違いありません。しかし、同時に「通過点」でもあるのです。
あなたの夢を叶えるうえで、就活が全てではありません。うまくいかず落ち込むこともあるとは思いますが、幸せになれる方法はたくさんあります。いい意味で気楽に就活に取り組むようにすれば、視点も変わってくるかもしれません。
スケジュールに空白を作っておく
スケジュールに就活の予定しかない場合、常にそのことしか考えられず、視野が狭くなって息苦しさを感じることがあります。
アルバイトや友達と遊ぶ時間は、息抜きにもなり、かつ自分の経験を積む貴重な機会となり、結果的には就活にも活きてきます。
また、「何もしない空白の時間」も必要です。予定を詰め込んでいると、自分の疲れに意識を向けられないことが多いですが、「何もしない」ことにより、自分の体調に気づく余裕が生まれるのです。
自分自身とゆっくり向き合うためにも、スケジュールに就活以外の予定や空白を作ることをおすすめします。
就活うつのよくある質問
ここまで、就活うつの実態や予防法を見てきました。こちらでは、就活うつのよくある質問を紹介します。
- 就活うつで就職をやめたらどうなる?
- 就活うつで引きこもることもある?
- 子どもが就活うつのときに親がしてはいけないことは?
順番に見て聞きましょう。
就活うつで就職をやめたらどうなる?
就活うつに陥った場合、「就活を完全にやめる」という選択肢も考えられます。その場合の選択肢として、「仕事をしない」という選択肢以外では、以下のものがあります。
- 大学院への進学
- アルバイト
- 派遣・契約社員
- フリーランス
大学院への進学
大学院への進学は、卒業してすぐに働き始めるのではなく、学びをさらに深める道に進むということです。2年間の研究を通して高い専門性が身につくため、企業側からの評価も上がり、入社後は早い段階でのキャリアアップが期待できる場合もあります。
また、大学院修了後は、再び新卒で就職活動を行うことができるというメリットもあります。ひとつの選択肢として覚えておくと良いでしょう。
アルバイト
「非正規雇用」ではありますが、働いて賃金を得ることができます。また、アルバイトであっても仕事に真剣に取り組む姿勢が評価されれば、正社員として雇用してもらえることもあります。
時間に融通が利きやすいというメリットもあるため、転職活動をする際も、仕事と両立することができます。ただ、正規雇用と比較すると、収入は低く、雇用が不安定、福利厚生がないというデメリットもあります。その先の人生設計をよく考える必要があるのです。
派遣・契約社員
就活がうまくいかなかった場合、この道を選択する学生もたくさんいますが、注意が必要です。
派遣・契約社員は昇給がほとんどなく、時間的余裕が少ないため、転職したいと考えた場合はそれに割く時間も限られてしまいます。
自分がどのようなキャリアプランを設計していきたいのか、よく考えて選択するようにしましょう。
フリーランス
フリーランスは、個人で仕事をし、報酬を得る働き方です。自分のペースで仕事ができる一方で、個人の持つスキルや能力が重視されます。
また、自分自身で仕事を獲得するという難しさもあります。自分が何ができるかをよく考え、仕事につなげていくという力が必要なのです。
就活うつは甘え?
就活うつは精神的な病気であり、決して甘えではありません。就活を頑張っている証拠です。
受験とは異なり合格ラインが明確に設定されていない就活は、不安になりやすく、うつになる危険性が高いです。
あなたが逃げずに就活に向き合い、少し疲れてしまっただけなのです。辛いと感じたら早めに対処し、自分を労ってあげてくださいね。
就活うつで引きこもることもある?
「引きこもり」の原因は、挫折体験である場合が多いです。就活で選考に落ちたりストレスが溜まったとき、無気力状態に陥ることがあります。これが「就活うつ」につながり、引きこもることが増えていくのです。
引きこもりから脱却するには、「他者に助けを求めること」が必要です。当事者が家族や友人の手を借り外に出るのを助けてもらうことはもちろん、家族が医療機関など専門家に相談をすることも含まれます。
引きこもり状態が続いたからと言ってそのままにせず、他者に手を借りながら解消を目指しましょう。
子どもが就活うつのときに親がしてはいけないことは?
親が子どもの将来を気にかけ、心配する気持ちはよく分かります。しかし、毎日のように就活に関することを聞いたり、他者と比較したりすることはプレッシャーとなり、就活うつの原因となります。
親が子どもにしてあげられることは、就活について相談してくれるのを待ち、悩んでいるときは意見を押し付けるのではなく、優しく話を聞いてあげることです。
また、就活でいっぱいいっぱいになっていた場合、休憩させてあげることはもちろん、就活うつかも?と思ったら心療内科を受診させることも大切です。
子どもが後悔のないよう就活に取り組むために、親は一番の味方で居てあげましょう!
まとめ:就活うつかな?と思ったときには力を抜いてみる
いかかでしたか?「就活うつ」について説明してきましたが、就活うつは誰にでも起こりうることです。
就活うつになってしまうと、就活だけではなく日常生活にも影響を及ぼします。辛い、苦しいと感じたら、一旦頑張ってきた自分を認め、立ち止まってお休みすることが大切です。
深く考えすぎず、自分のペースで取り組んでいきましょう!焦らず落ち着いて、後悔のない就活にしてくださいね。
ここまで読んでくださりありがとうございました!